ワンちゃんの健康管理
ワンちゃんが家族の一員になったら
新しい環境に慣れるまでには急な環境の変化に依るストレスなどから、抵抗力が一時的に弱まってしまうことがよくあります。
わんちゃんによく見られる体調の変化を書いてみましたので、どうぞ参考にしてみてください。
犬の平熱は人間よりも高く、小型犬で38.5℃前後、大型犬でも、37.5℃~38℃ 前後です。 いつも温かく感じるので、慣れないと発熱がわかりにくいものです。
熱があると・・・
- 元気、食欲がなくなる
- 呼吸が荒くなる
- 冷たい所に伏せる
- 舌の色がいつもより赤くなる・・・などです。
体温が39℃以上あれば、動物病院で診察を受けましょう。
便の異常で多い下痢は体調不良のサインです。
原因は・・・
ストレス、食餌の量やフードの変更、消化不良など病気ではないものもたくさんありますが、最近、ウィルスの感染、寄生虫、食中毒などを起こしている場合も少なくありません。下痢とともに、発熱などがある場合は病気の可能性があります。動物病院で診察を受けましょう。
咳は肺からの空気を送りその風圧によって気道にある異物を取り除こうとする生理現象です。
まず、呼吸器のどこかに炎症が起きていることが考えられます。最初は喉の近く、気道に炎症が起き、気管支、肺へと広がっていく場合もあります。また、心臓にフィラリアが寄生しているときにも咳が出ます。
☆呼吸器疾患を防ぐ環境を作りましょう。
- 埃が舞い上がらないように掃除をこまめにしましょう。
(ノミ・ダニの予防にも役立ちます) - 掃除機をかけるときは換気をしっかりし、掃除機の排気を犬に吸わせないように気をつけましょう。
- 床の付近に冷気がたまりやすくなり、床に近いところで生活をする犬だけが寒いことがあります。エアコンの吹きだし口の向きや温度調節に気を配りましょう。
- 乾燥機もよくありません。部屋には湿度計を用意し、乾燥しすぎてはいないか、チェックしましょう。
仔犬が環境の変化などによるストレスから不眠や食欲不振に陥ったとき、低血糖症になることがあります。新しい家族になってしばらくの間、かまいすぎないように注意しましょう。予防のため、飲み水やフードにお砂糖など、糖分を少量入れてあげましょう。
病気の予防
フィラリア症は、ディロフィラリアとよばれる寄生虫が蚊の媒介よって犬の体内に入り込んで起こる病気です。フィラリアが心臓や肺、血管内に寄生すると、やがて全身の臓器不全により死に至る病気です。
- ☆予防
- 蚊に刺されないことが一番の予防ですが、現在は心臓にたどり着くまでの幼虫(ミクロフィラリア)を殺す薬の服用によってフィラリア症から守ることができます。
- 予防薬は・・・
- 蚊が飛び始めた頃から11月頃まで月1回服用します。薬の量は、犬の体重によって違うので動物病院に相談の上、服用させましょう。
狂犬病はウィルスの感染によって中枢神経が侵されるために起こります。ウィルスは発病している動物の唾液中に含まれ、噛み傷などから体内に侵入し感染します。
- ☆予防
- ワクチンの接種によって予防できます。 日本では狂犬病予防法によって、年1回予防接種を受けることが義務づけられています。
ワクチンについて
犬のワクチンについて
犬の世界には感染すると死亡率の高い恐ろしい病気があります。ワクチンを打って抵抗力を高めておくことにより、ウィルスが体内に入ってきても、症状や死亡率を抑えることができます。
仔犬のワクチン
仔犬は生まれてすぐにお母さんの初乳を通して(移行抗体)を受け継ぎ病気に対して抵抗力をつけます。そのため、生まれてしばらくは伝染病に対して抵抗力を持っていますが、時間とともに抗体価が低下していき、発病を防げなくなってしまいます。
移行抗体が低くなったら間をあけずにワクチンを打たないといけません。しかし、一方で移行抗体価がまだ高い状態ではワクチンを打っても逆に移行抗体に邪魔をされ、効果を発揮できません。移行抗体の下がり方については個体差により異なります。
また、移行抗体が低くなっているのに抗体の上がり方が低い子もいます。
したがって、仔犬は間隔をあけて2回~3回うちます。
そうすることによって、ワクチン接種後の抗体価が十分にあがります。
※ワクチンによって得られた抗体価は徐々に下がっていき、予防できなくなってきます。1年ごとに追加接種し、抗体価を維持しましょう。
2種混合ワクチン
- 犬ジステンパー
- ウィルスによって起こる死亡率の高い恐ろしい伝染病です。
高い熱、目やに、鼻水、元気・食欲がなくなり、下痢、嘔吐、ふるえやケイレンなどの神経症状やハードパットなど、様々です。 - 犬パルボウィルス感染症
- 感染力が非常に強く死滅しにくいウィルスによって起こる伝染病です。
腸炎系と心筋系とがあります。
腸炎系は・・・激しい嘔吐や血液が混じった激しい下痢、貧血や脱水症状を起こします。
心筋系は・・・突然呼吸困難をおこし休止する事もあります。
どちらも死亡率が高く十分な注意が必要です。
9種混合ワクチン
ジステンパーパルボウィルス感染症を含むワクチンです。
- 犬パラインフルエンザ
- 水様性の鼻水や咳、軽い発熱や扁桃の腫れなどが見られます。二次感染等が起こると症状も重くなります。
- 犬伝染性肝炎(アデノウィルスⅠ型)
- 高い熱が出て、嘔吐や下痢をしたり、元気・食欲がなくなり、時に目が白く濁ったりします。症状は様々です。
- 犬伝染性咽頭気管支炎(アデノウィルスⅡ型)
- 熱が出たり、食欲がなくなり、クシャミ、鼻水、乾いた咳が続き、のどや扁桃が腫れる場合もあります。他のウィルスや細菌の二次感染により、症状が重くなることもあります。
- 犬コロナウイルス感染症
- 糞便を介した経口感染により伝染し、発症すると元気消失、食欲不振、 嘔吐、下痢を引き起こし、激しいと顕著な脱水を起こします。
- 犬レプトスピラ病
- (カニコーラ・コペンハーゲニー・レプドマディス)
レプトスピラという細菌が感染することによって、肝障害や急性腎不全などを起こす病気です。
人畜共通感染症(ズーノーシス)でもあり、ネズミの尿によって水源や、食物が汚染され、 人にも感染することがあります。